契約の解除に関する事項

重要事項説明書の読み方

賃貸・売買契約を締結する際、どのタイミングをもって契約成立とするのか。

一般的には契約書の取り交わしが完了してからと思われがちですが、当事者双方の合意があった時点で契約は成立します。

賃貸・売買契約は双方の合意があった時点で成立する諾成契約です。

借りますと貸します、買いますと売りますの双方合意があった時点で契約は有効に成立しています。

本来不動産の契約には一部の契約を除き、契約書の作成は不要です。

契約書は後日トラブルにならないように内容を双方で確認する意味合いで作成されます。

しかし不動産の契約は高額なため契約書の作成・取り交わしがあった時点で契約を成立とすることがほとんどです。

いったん契約が成立すると簡単にやっぱりやめたとは言えなくなります。

しかし契約の相手方が契約内容を守らなかったり、やむを得ない理由で契約を解除しなければならないこともあります。

どのような時に契約を解除することができるのか、その際に必要な手続き、解除をした結果どうなるのかを説明するのが契約解除に関する事項です。

使用する契約書により説明する内容は異なりますが、一般的な以下の7項目を解説します。

  1. 手付解除
  2. 引渡前の滅失・毀損の場合の解除
  3. 契約違反による解除
  4. 反社会的勢力の排除条項に基づく解除
  5. 融資利用の特約による解除
  6. 瑕疵担保責任による解除
  7. 借地権譲渡について土地賃貸人の承諾を得ることを条件とする契約条項に基づく解除

手付解除

売買契約成立と同時に手付金を支払った場合の説明事項です。

手付解除は売主・買主どちらからも申し出ることができます。

売主からの契約解除

売主からの手付解除には手付倍返しが必要です。買主から預かった手付返金と預かった手付金分の金銭を支払わなければなりません。

買主からの手付解除

買主が手付解除をする場合は手付放棄、支払った手付は差し上げますので契約を解除しますとなります。

いつまで手付解除が可能か

手付解除はいつでもできるわけではなく、手付解除には期限があります。

まずは契約の相手方が履行に着手をした時です。

例えば現在の住居を売却する場合に、売却のために売主が自宅を退去した場合などです。その場合には買主からの手付解除はできなくなります。

売却のために引越しをしたのにやっぱりやめますと言われたらいくら手付分の金額を貰ったとしても賄いきれない損害が発生する場合もありからです。

次に手付解除の期限を過ぎた場合です。

契約締結時に予め手付解除ができる期限を設けます。

その期限を過ぎると手付解除は出来なくなります。

この期限には何日以内にしなければならないという法的な定めはなく、双方の合意により設定します。

手付解除期限は契約締結後一週間前後に設定されることが多いように思います。

譲渡前の滅失・毀損の場合の解除

売買契約が成立した後に災害などが発生し、建物が壊れてしまった場合にはどうするかを定めたものです。

契約成立と引渡が同時の契約であれば該当しませんが、契約から引渡まで時間がある場合の説明事項です。

滅失と毀損の場合で取り扱いが異なります。

滅失とは無くなること(消滅するようなイメージ)毀損とは壊れること(不動産自体は存在する)をいいます。

滅失した場合

契約が成立した後に天災地変その他売主や買主の責任ではない事により物件が滅失(無くなること)した場合には買主は契約を解除することが出来ます。

災害などで家はなくなってしまったのに契約は成立しているから全額お金を払いなさいと言われても酷ですよね。

毀損した場合

契約が成立した後に前項の理由により物件が毀損した時は売主は物件を修復して買主に引渡す必要があります。

修理が可能な場合は修理をして引渡が必要になります。

しかし修理が困難な場合や修理に莫大な費用がかかる場合は売主からの契約解除が可能です。

また、その毀損により買主の目的を達成できない場合には買主からの契約解除も可能です。

契約違反による解除

売主又は買主が契約で定めた事項を履行しない時にも契約の解除が可能です。

契約で定めた事項を債務といい、債務不履行による解除と言うこともあります。

その場合には自らの債務を履行する必要があります。

例えば売主が物件を引渡さないことにより買主が契約を解除する場合には買主はお金を支払っている必要があります。

この場合の売主の債務は物件引渡、買主の債務は代金支払いです。

このような契約違反による解除をする場合には基本的に違約金が設定されています。

違約金の額については基本的に法的な定めはなく、20%前後の違約金が設定されるのをよく見ます。(売主が宅建業者の場合には20%を超えてはならないとされます)

反社会的勢力の排除条項に基づく解除

これは反社会的勢力ではないことを確認するために設けられています。

万が一反社会的勢力だった場合には契約を解除することが出来ます。

融資利用の特約による解除

ローン特約や融資特約と言われるものです。

不動産は高額なため融資を利用する方が多数おられます。

しかし融資をするかしないかの判断は金融機関によりますので、購入の意思があっても融資の承認が下りずに物件が購入できないということもあります。

その場合に買主の債務不履行となり違約金を支払わなければならないとすると買主は非常に厳しい状況に置かれてしまいます。

そこで買主を保護するために設けられたものです。

融資特約を設定する際には融資の申込期限、融資未承認の場合の契約解除期限、融資未承認の結果契約が解除となった際の取り扱いなどが定められます。

融資未承認と一言に言っても内容は様々です。

融資希望金額の承認が下りなかった、希望金利での承認が下りなかった、などです。

そのため融資特約をつける場合には金融機関や金利を記載し、その内容で融資が下りなければ解除と定めることもあります。

融資特約は買主保護のための制度ですが、内容をしっかり理解していないと活用することもできません。

融資を利用して不動産購入を検討されている方は不動産会社と相談しながら内容を詰めましょう。

瑕疵担保責任による解除

瑕疵とは欠陥のようなイメージです。

本来備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないことをいいます。

雨風をしのげると思って購入した家に実は雨漏りがあったなどですね。

売買契約における瑕疵担保責任による解除は、物件に”隠れた”瑕疵があった場合の扱いを明記した物です。

瑕疵担保責任は特約で排除することも可能です。(売主が不動産会社の場合を除く)

そのため瑕疵担保責任が免責となっている契約では無関係です。

売主が瑕疵担保責任を負う場合に物件に隠れた瑕疵が見つかった場合、その瑕疵によって契約の目的を達成できない場合には契約の解除を、その他の場合には損害賠償の請求が可能です。

契約を解除した場合でもなお損害がある場合には合わせて損害賠償の請求も可能です。

この瑕疵担保責任は売主からすれば自分が知らない瑕疵も責任を負うため非常に重い責任がのしかかります。

売却をした後何十年もこの責任を負うのは酷なので民法上の瑕疵担保責任は10年間で消滅時効に掛かります。

しかし実際には10年とする契約は稀で数ヶ月から1年程度に設定することが多いです。

借地権譲渡について土地賃貸人の承諾を得ることを条件とする契約条項に基づく解除

これは借地権付建物や借地権付区分所有建物を取引する際に規定するものです。

借地権付建物とは他人の土地を借りて(借地)その上に自分の建物を建てたものです。

借地権付建物や借地権付区分所有建物を売却する際には借地権も同時に買主に譲渡する必要があり、そのためには土地所有者の承諾が必要になります。

基本的には承諾を取得するのは売主ですのでいつまでに取得するのか、承諾料などの費用負担はどうするのか、などが定められます。

契約の解除に関する事項で注意すること

不動産の取引は非常に高額な取引になることが多いため、契約締結後簡単にやっぱりやめたとは言えなくなります。

曖昧な認識のまま契約を締結するといざ事情が変わった時に多額の違約金を支払う事になりかねません。

どのような場合に契約を解除することができるのか、その際にはすでに支払った金銭はどうなるのかなど確認をするようにしましょう。

買主の理解が足りなかったために不動産が取得できないだけではなく、解除に際して違約金を支払ったケースもあります。

十分に注意して曖昧な理解のまま契約を進めることのないように注意しましょう。

dokugakufudousan

当サイトの管理者。マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士に独学で合格。賃貸・売買仲介不動産会社勤務。

dokugakufudousanをフォローする
タイトルとURLをコピーしました