マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律が公布されました。
ってなに?と感じる方が多いと思います。
今回はこの法律改正について解説します。
法律改正の要点
タイトルにある通り、
①マンションの管理の適正化の推進に関する法律及び②マンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律です。
マンションの管理に適正化の推進に関する法律
今回の改正には大きなポイントが3つあります。
- 国によるマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定し、市区(町村部は都道府県)はその基本方針に基づき、マンションの管理の適正化の推進を図るための計画(マンション管理適正化推進計画)を策定する(任意)
- 管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等を実施
- マンション管理適正化推進計画を策定した場合に、管理組合が作成する個々のマンションの管理計画を認定
国が定める基本方針には適切な修繕計画が立てられているか、計画に基づいて修繕積立金が積み立てられているか、管理組合の活動が適切に行われているかなどが含まれます。
長期修繕計画がそもそも立てられていなかったり、計画があったとしても修繕積立金の滞納があるマンションも多く実在します。
マンションの建替え等の円滑化に関する法律
この法律は被災したマンションや耐震性不足のしているマンションの建替や敷地売却を円滑化する法律です。
今回の改正により従来被災・耐震性不足に限定されていた多数決による敷地売却の対象が拡大されることになります。
具体的には外壁の剝落等により危害を生ずるおそれがあるマンション、バリアフリー性能が確保されていないマンション等が追加されました。
法律改正の背景
この法律改正の背景には老朽化マンションの増加があります。
築40年超のマンションは現在の約81万戸から10年後には約2.4倍の約198万戸、20年後には約4.5倍の約367万戸となると見られています。
マンション事態の老朽化はもちろん所有者自身の高齢化による資金の問題などすでに社会問題となっています。
ちなみに日本最古の分譲マンションは1953年に建築された渋谷駅近くの宮益坂ビルディングです。
現在はすでに解体され、分譲マンションとして建替えられています。
マンションの管理に適正化の推進に関する法律
マンションは築年数が経過するごとに老朽化していきます。
老朽化が目立つと大規模修繕を行いますが、一度大規模修繕をすれば終わりではなく、2回目3回目の大規模修繕を行う必要が出てきます。
適正な金額を積み立てていない場合に発生する問題が修繕積立金の不足です。
修繕積立金が不足した際は、毎月の修繕積立金を増額する・一時金として所有者に負担してもらうなど対策はありますが、所有者の負担増になりますし、管理組合の総会で決議する必要があります。
とくに築年数が経過したマンションの所有者は高齢化が進み、金銭的な負担に耐えられない所有者や自分の人生の先が見えているのでお金を掛けてまで大規模な修繕をする必要はないという所有者が増える可能性があがります。
そうなるとますますマンションの管理状況が悪化し、資産価値が下がっていきます。
今回の法改正により、そのような問題を予防・解決することが目的になっています。
マンションの建替え等の円滑化に関する法律
本来マンションの敷地売却は民法上の共有物の処分にあたるため所有者全員の同意が必要です。
しかし所有者全員の同意となると簡単にはいきません。
そこで耐震性が不足するマンションについては平成26年に建替円滑化法が改正され、マンション敷地売却制度が創設され、多数決による売却が可能となりました。
今回はその対象が拡大しました。
しかしマンションの管理と同じく所有者の高齢化に伴う問題もあります。
売却した際の引越しや引越し先の確保(高齢であれば賃貸で借りることも売買で購入することも難しくなります)をどうするのか、結局売却に反対する所有者が増えます。
今回の改正により考えられる今後の影響
今後はマンションの管理に適正化の推進に関する法律における管理計画認定制度がポイントになりそうです。
管理計画が認定されることで計画がしっかりしているマンションに住めるのはもちろん、売却するにも購入するにも管理計画認定がある方が有利に働くでしょう。
それによってマンションの所有者が管理組合の活動に関心を持ち、より管理状況の良いマンショが増えることを望みます。
マンション管理士の活躍の場面が増える(はず)
そこで我々マンション管理士の出番です。
マンションの管理組合に対しプロの適切なアドバイスをすることで管理組合のお役に立てるでしょう。
みなさん今のうちにマンション管理士試験に合格をしておきましょう。
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