埋蔵文化財包蔵地内の不動産を検討する時の注意点

重要事項説明書の読み方

重要事項説明書の中の”都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限”の中に”文化財保護法”という項目があります。

文化財保護法には主に下記4つの規制があります。

この記事では特に目にする機会の多い、3.周知の埋蔵文化財包蔵地の指定による規制について解説します。

  1. 重要文化財・史跡・名勝・天然記念物の指定による規制
  2. 伝統的建造物群保存地区の指定による規制
  3. 周知の埋蔵文化財包蔵地の指定による規制
  4. 重要文化的景観の指定による規制

埋蔵文化財とは

埋蔵文化財とは地中に埋もれている文化財のことを言います。

埋蔵文化財包蔵地とは

埋蔵文化財包蔵地とは埋蔵文化財が埋まっている土地を指し、市街地にもかなりの数が存在します。

そのため不動産取引の現場では埋蔵文化財包蔵地内の物件をよく目にします。

埋蔵文化財包蔵地の確認方法

対象不動産が埋蔵文化財包蔵地内にあるか否かは主に教育委員会が作成・周知している「遺跡地図(包蔵地地図)で確認をすることができます。

インターネット上で地図情報を公開してある場合もあれば、窓口で確認をしなければならない場合もありますので確認が必要です。

埋蔵文化財包蔵地内の物件を購入する際の注意点

周知の埋蔵文化財包蔵地内で建築工事や土木工事などを行う場合にはいくつか注意が必要になります。

工事着手の60日前までに届出が必要

周知の埋蔵文化財包蔵地内で建築工事や土木工事を行う場合は工事着手の60日前までに文化庁長官(都道府県または指定都市の教育委員会)に届出が必要になります。

工事着工が大幅に遅れることがある

前述の届出をすると教育委員会の調査員が現地を確認・調査します。

その結果本格的に発掘調査をすることとなった場合には着工まで1年以上時間がかかることもあります。

1年間着工が伸びてしまうと計画に多大な影響を与えます。

費用負担の可能性

発掘調査の費用は基本的に土地所有者が負担しなければなりません。

例外的に個人の住宅の場合は基本的に公費で発掘調査が行われますが、建築物件が投資用のマンションなどの事業用の場合には土地所有者が費用負担しなければなりません。

埋蔵文化財が出土したら

もし土地を掘削して埋蔵文化財が出土した場合は拾得物として管轄の警察署長に届ける必要があります。

その後文化財であるかどうかの鑑定を行い、文化財と認められたもので所有者が判明しないものは原則として都道府県に帰属します。

埋蔵文化財と聞くと徳川埋蔵金のように見つけたら一攫千金のイメージがあるかもしれませんが、残念ながら個人の財産になることはありません。

埋蔵文化財包蔵地内の不動産は買わない方が良いのか

結論から申しますとあまりオススメはしません。

自宅用で購入する分には費用面の心配はありませんが、調査にかかる時間やもし本格調査になった場合の工期延長は影響が大きいためです。

また、将来売却をする際にも埋蔵文化財包蔵地外の物件に対して埋蔵文化財包蔵地内の物件は査定価格が低くなる傾向にあります。

新築や築浅物件が既に建築されているのであれば建築のリスクはそこまで高くはありませんが、将来的な売却を考えるとやあまりオススメはしません。

しかし埋蔵文化財包蔵地は全国に何万カ所も存在しています。

気にしすぎると検討の幅が狭くなってしまいますので、良く検討することが必要です。

dokugakufudousan

当サイトの管理者。マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士に独学で合格。賃貸・売買仲介不動産会社勤務。

dokugakufudousanをフォローする
タイトルとURLをコピーしました