(※このブログでは国土交通省のホームページに公開されている重要事項説明の様式例を元に解説をします。不動産会社の使用する書式の様式によって若干違いますが法律で定められている重要事項説明の内容は同じです。)
登記記録に記録された事項とは?
宅地建物取引業法には下記のように記載されています。
当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
宅地建物取引業法第三十五条の一
取引しようとしている不動産(土地や建物)にどのような権利が設定されているのか、どのような人(会社の場合もあります)が所有者として登録されているのかを説明する項目です。
重要事項説明書の中の登記記録に記録された事項の説明部分は下の写真のようになっています。
登記記録には①甲区(こうく)と②乙区(おつく)という部分があります。
甲区に記載される事項
①甲区には所有権に関する事項、今現在誰が所有者として登記されているかが記載されます。また、差し押さえや所有権移転仮登記等買主が不利になる登記がなされていないかの確認が取れます。
ここに記載のある所有者と売主名義が違う場合はなぜそのようになっているか、取引に問題はないかどうか、仲介している不動産会社に確認をする必要があります。
甲区記載の登記名義人がすでに亡くなっていて相続が発生し、相続人が相続登記をしていない状態で売却を行うようなこともあります。
そのような場合には売主(相続人)名義に一度相続登記をし、買主であるあなたへ所有権を移転するという条件で契約を結ぶことになります。
乙区に記載される事項
②乙区には所有権以外の権利に関する事項について記載されています。
よく見る乙区登記が抵当権です。これは金融機関などからお金を借りる際に不動産を担保にする際に設定される権利です。
お金を借りている側が返済できなくなった場合にお金を貸している側が不動産を競売にかけ、売却した金額から優先的に貸したお金を返してもらえると言うものです。
抵当権の設定がある不動産を取引する際は引き渡しまでに抵当権を抹消して引き渡す必要があります。
その他あまり多くない案件ですが地上権や地役権などの権利も乙区に登記されます。
例えば上空を高圧線が通っているような土地に地役権が設定されていることがあります。これは高圧線の安全確保の為のもので、土地の利用を制限する場合があります。(地上〇メートル以上の高さの建物は建ててはならないなど)
地上権や地役権は不動産取引の際に抹消して引き渡すような性質のものではないため注意が必要です。
区分所有建物(マンション)の場合
区分所有建物(マンション)の場合は少し特殊で一つの建物の中の各部屋にそれぞれの所有者がいます。
その建物がある土地の所有者がまったくの他人の場合、部屋の所有権はあるけど土地の所有権がない、要するに土地を利用する権利がないという事態が発生してしまいます。
その為区分所有建物(マンション)の場合は基本的にお部屋の所有権を移転した場合は敷地の利用権もお部屋と一緒に移転するようになっており、その制度を敷地権制度といいます。
最近のマンションでは基本的に敷地権登記がされていますのでお部屋の取引をすることで同時に敷地利用権を取得することができます。
しかしこの制度がスタートしたのが昭和62年頃ですのでそれより以前に完成した物件では敷地権登記がされていないものもあります。
その際はお部屋部分と土地の所有権持分(○分の○等)を取引することになります。
売主の方が敷地の所有権を所有していない事は考えにくいですが、念のため不動産会社の方に確認をしましょう。
登記事項証明書を自分で取得してみよう
重要事項説明の登記記録に記載された事項は登記事項証明書の内容を記載します。
登記事項証明書は法務局で取得することが可能です。
窓口でもネット申請でも取得することが出来ます。
登記事項証明書には所有権の移り変わりや担保設定された履歴など、その不動産の歴史が記載されています。
購入しようとしている不動産がどのような不動産なのか、自ら確認することをオススメします。