【リースバック】仕組みとメリット・デメリット

雑記

リースバックのシステムにはメリットもある反面、大きなデメリットもあることを解説します。

リースバックを扱っている会社のホームページには魅力的な内容が並んでいます。

しかし、詳しく理解せずにリースバックのシステムを安易に利用すると住居を失いかねません。

リースバックとは

不動産会社や投資家に自宅等を売却し、売却と同時に買主(不動産会社や投資家)が貸主となり、売主を借主とする賃貸借契約を結ぶことをリースバックと言います。

リースバックのメリット

リースバックのシステムには主に以下のメリットがあります。

売却後も元自宅に住み続けることが可能

通常不動産を売却した場合、買主に不動産を引き渡さなければなりません。

しかしリースバックの場合は買主が貸主として賃貸借契約を結びますので継続して住み続けることが可能です。

即現金化可能

一般の売却と違い、リースバックの際の買主は資金力のある不動産会社や投資家です。

その為現金化までの時間が短縮できます。

一般の売却では現金化まで数ヶ月要するところをリースバックであれば2週間から1ヶ月程度で現金化可能です。

不動産を所有するコストがなくなる

売却して所有権を移転しますので、以降の固定資産税やメンテナンス費用などが発生しません。

設備関係に不具合があった場合には貸主に修繕を要求することも可能です。(賃貸借契約内容による為一概には言えません)

不動産を所有するリスクがなくなる

不動産を所有するリスクとは災害時などによる不動産の価値の下落や住宅ローン利用時の金利上昇リスクです。

リースバックでは所有権が移転する為そのようなリスクが発生しません。

買戻特約により売却した不動産を買い戻すことができる場合がある

売買契約の特約に買戻特約があれば将来売却した不動産を買い戻すことができる場合があります。

売却により得た資金の使用用途に制限がない

売却時に得た資金の用途に制限がありません。

リースバックと似たサービスにリバースモーゲージがありますが、リバースモーゲージの場合には融資資金の使用用途に厳しい制限があります。

リースバックのデメリット

リースバックには上記メリットがありますが、そのメリットが裏を返せばデメリットとなり得ます。

売却後ずっと住み続けられる訳ではない

リースバックを扱う会社のホームページには売却後も住み続けられるので安心!とありますが、基本的に何年も住み続けることはできません。

リースバック時に契約する賃貸借契約が普通賃貸借契約の場合は更新の可能性がありますが、リースバック時には通常2年間程度の定期建物賃貸借契約を結びます。

定期建物賃貸借契約は期間満了により確定的に契約が終了します。

契約期間満了時に再契約は可能ですが、再契約には貸主と借主双方の合意が必要です。

契約時には再契約可能と説明を受けても期間満了時に契約終了による明け渡しを求められた場合は明け渡しに応じなければなりません。

そうなってしまうと再契約可能と聞いていたと主張しても後の祭りです。

売却価格が必ず相場より低くなる

不動産会社の投資家はビジネスの目的でリースバックを行います。

よって必ず相場よりも安い価格でしか購入はしません。

相場よりも安い価格で購入できるからこそ即現金化が可能なのです。

一般的にはエンドユーザーが購入する価格の40%から50%になります。

賃料が発生する

不動産売却後は売主を借主とする賃貸借契約を結びますので、賃料が発生します。

固定資産税などの固定費は掛からなくなりますが賃料が発生しますので結果的にコストは増える可能性があります。

賃料設定についても必ずしも相場通り、もしくは相場より安くなるとは限りません。

相場の賃料で設定する場合もあれば、売却金額の○%と定める場合もあります。

売却価格に対する割合での賃料設定の場合は売却価格が大きくなるほど賃料の設定も上がります。

その場合には結局賃料が支払えずに退去をしなければならない可能性も発生します。

売却価格がローンの残債を下回る場合には利用できない

住宅ローンなどを利用して不動産を取得した場合には融資をした金融機関がその不動産に抵当権を設定します。

リースバックを利用して売却をする場合は抵当権を抹消(残りの借金を返済)する必要があります。

売却資金で住宅ローンを完済できない場合には抵当権の抹消が出来ないためリースバックを利用することもできません。

将来の買戻しは容易ではない

売却時の売買契約に買戻特約があれば将来的に不動産を買い戻すことが可能です。

しかし買戻特約には期間と金額が設定されることが一般的です。

例えば定期借家契約2年間の間にいくらで買戻しの意思表示をしなければ買戻し請求権は消滅するという内容になります。

金額についても売却価格の120%から150%に設定させることが多く、売却した価格より高い価格で購入する必要があります。

リースバック利用は慎重に検討を

リースバックのシステムは一見メリットが多く見えますが、慎重に利用しないと合法的に住む家を奪われてしまいます。

利用時には売却時の売買契約、賃貸借契約に不利な内容がないがよく確認をしましょう。

dokugakufudousan

当サイトの管理者。マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士に独学で合格。賃貸・売買仲介不動産会社勤務。

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